脳の病気である脳梗塞・脳出血(くも膜下出血など)・頭部外傷・脊髄疾患などを簡単な説明と写真など をつけて、紹介していきたいと思います。 (写真をクリックすると拡大します)
以前のCTAでは、骨の中を走行していた血管は、各スライス毎に信号を抽出して画像を作っていた為にガタガタに表現されていました。(左1番上黄色い矢印)
今回導入した画像処理装置には、骨の部分を綺麗に抜くソフトが入っていましたので、それを使用することにより、血管造影と同じような画像を作ることが出来ます。(右1番上、左上から2番目)
また、動脈と静脈のデ-タを使って、フュージョンさせる事も可能となりました。(右上から2番目)
術後のCTAにも同様のソフトを使うことにより、脳動脈瘤クリップを付けた状態(左上から3番目と4番目)とクリップを外した状態(右上から3番目と4番目)の画像を作ることができ、退院後の経過観察にも使われています。
※外来検査では、画像データが出来るまでには、撮影終了後30分~1時間くらいかかります。
左にある写真は去年の9月に新しく導入したCTで撮影したもので、以前のCTよりも撮影範囲が広がり、前の時には描出の難しかった細い血管や骨の中を通っていた血管が表現されています。(写真をクリックすると全体像が表示されます。)
骨の画像を付ける事によって、手術の補助的な画像のもなります。
下にある頸部動脈狭窄症の説明にある写真はAG(血管造影撮影装置)で撮影したものですが、比べてみるとほとんど差がありません。
また、撮影時間も以前より短くなり(8秒ほど)使用する造影剤の量も減りました。
脳梗塞とは、脳の血管が何らかの原因で狭くなったり、または詰まったりして、脳の細胞に血液が行き渡らなくなり細胞が死んでしまうことをいいます。
細胞の死んでしまった場所によっては、手足の麻痺がでたり、言葉がでづらくなったりします。
血管が詰まる原因は大きく分けて2つあり、1つは、塞栓性のもので、血液の固まりが血管の中を流れて、脳の血管で詰まったもの。
もう1つは、血栓症のもので、動脈硬化により血管の中が徐々に狭くなり狭窄が進行していった結果、血管が閉塞してしまったものとあります。
脳梗塞は、詰まったからといって、すぐに脳細胞が死ぬわけではありません。(3~6時間かかります)早期診断をおこない、治療をおこなえば、脳梗塞の範囲を狭めることが可能です。
左にある写真は、脳梗塞の症例です。
脳の血管が破れて、脳内に血の塊(血腫)を形成したもの(脳内出血)と脳動脈瘤が破裂しておこるクモ膜下出血があります。
脳内出血の多くは、高血圧が原因といわれ、発症すると脳の組織を圧迫または破壊をきたす疾患です。
脳動脈瘤とは、脳の血管に風船のようなふくらみができたもので、これが破れるとくも膜下出血となります。
脳内出血は、出血の量や場所によって、手術の適応になるかならないかが決まってきます。
左の図で、脳内の白く表現されている部分が出血で、手術の適応となったのは、上段の右側の症例でした。
下の2つの画像は、手術後の写真で、下段の左側は手術直後の写真、下段の右側は手術後10日ほど経過した状態の写真です。
上段の左側の症例は、出血がこれ以上増えることの無いように、投薬・血圧管理などの治療をおこないます。
脳は、3層の膜に覆われていて外側から硬膜・クモ膜・軟膜と呼ばれていて、クモ膜と軟膜の隙間をクモ膜下腔と呼びます。
このクモ膜下腔での出血をクモ膜下出血といいます。
原因は、脳動脈瘤の破裂や外傷性によるものがありますが、ここでは、脳動脈瘤の破裂の写真を載せていきます。
破裂した脳動脈瘤は、放置したままだと再破裂(再出血)を起こしますので、クリップによる手術をしなければなりません。
しかしながら、昏睡状態やきわめて全身状態の悪い方は、手術の適応とならない場合もあります。
クモ膜下出血の症状としては
・頭を殴られたような激しい頭痛
・嘔吐や血圧上昇
・物が二重に見えたりすることもある
(片方のまぶただけが下がりっぱなしの場合もある)
左の写真で、1番下にあるCTの画像は、脳動脈瘤が破裂した時のCTの写真です。
上段の左側にあるのが、血管造影をしたときの写真で、右側にあるのが、3D撮影をして瘤の形をよりはっきりさせたもので、瘤の計測をおこなったりします。
中段にある写真は、手術後の確認の写真で、左側に青く表記されいるのは脳動脈瘤クリップです。
右側の写真は、クリップを外して表記したもので、クリップの裏側などに、動脈瘤が残っていないかの確認の写真です。
外傷性SAHとは、雪道での転倒や自転車や車などの交通事故などが原因で、頭部を強打した事によって生じたクモ膜下出血の事で、頭蓋骨に骨折が無くても発症することがあります。
左の頭蓋骨の写真で、青い矢印の部分は骨折をあらわしています。
その隣のCT画像は、正常の状態の写真です。中段は外傷性のSAHをあらわしています。青い丸で囲まれた部分に分かりづらいかもしれませんが、出血があります。この出血が増えてくると脳を圧迫して、脳組織を破壊していくので、脳の組織を助ける為に手術が必要となります。
下段のCT画像は関数を変えて、骨の条件にしたもので、青い丸で囲まれている部分に骨折があります。通常のCTでは、分かりにくいので骨折を疑われた場合は、この状態の写真を出してくださいと指示を受けて出します。
慢性硬膜下血腫とは、頭部外傷後1~2ヵ月後に硬膜の下の脳との隙間に血がたまる病気で、この血(血腫)が脳を圧迫して様々な症状がみられます。
主な症状としては、頭痛・嘔吐・片側の麻痺や痺れ・失語症(言葉がうまく話せない)・比較的急な呆け症状(治療後に改善のあり)等があげられます。
治療法は、血腫の溜まっている部分の中心に小さな穴を開けて、血腫を抜く為のチューブを挿入し、血腫を吸引します。次に排液チューブを入れて穴を閉じ、排液が少なくなった1~2日後にチューブを抜きます。その後は、再発や血腫の増加がないかなどの経過観察を行います。
また、少量の血腫の場合は保存的療法をおこなうこともあります。
左の図で、CT画像とMRI画像で同じ部分の写真を載せてみました。青い矢印の部分か血腫です。
頸部動脈狭窄症とは、頚動脈の分岐部分が細く狭くなり、血液の流れが悪くなる事で、脳梗塞を起こす原因の1つとされております。
細くなる原因としては、分岐部分に動脈硬化や粥状の血栓が付着するなどがあります。この血栓が飛ぶと血管を閉塞させてしまいます。
その時に、多くの場合は、意識障害や講音障害・片麻痺・失語症などを起こしますが、24時間以内にこの症状が消えてしまうものもみられます。(一過性脳虚血発作:TIA)この症状は、脳梗塞の前兆として注意が必要です。
左の画像で1番上の段は、血管造影で3D表記したもので骨がついたものと外したものです。2段目は頸部のMRA(造影剤なし)撮影をしたもので、右にあるものは、そのデータを3D(Volum)にしたものです。3段目の左側の画像は、オペ前の血管造影の画像です。細くなっている部分が狭窄している部分です。
3段目の右側の画像と4段目は術後の画像です。
頚椎椎間板ヘルニアは、頚椎の4-6番目に多く起こり、40-50代に多く発症するといわれています。頸部痛・背部痛・肩こりなどの脊柱周囲の症状を伴うこともあります。首を動かした時に、電気が走ったような痛みを生じることもあります。
頚椎のヘルニアが進行していくと、脊髄が押されて手足の痺れや脱力などの運動障害を起こすことがあります。症状が軽い場合は、手術をせずに保存的治療(頚椎安静・固定・牽引・投薬など)を選択する場合もあります。
左の画像で上段のものは、ヘルニアがあるもので、下段は正常な頚椎の画像です。赤い矢印の部分がヘルニア部分です。画像をクリックすると拡大され全体像がでます。
腰椎椎間板ヘルニアは、30-50代の男性に多いいといわれています。腰椎の4/5、5/仙椎間に多く認められています。症状は、激しい腰痛を伴うことが多く、坐骨神経痛を生じることもあります。
また、下肢の限局的な感覚障害や運動障害も生じることがあります。
治療は、主に保存的治療が第一選択といわれ、局所安静や消炎鎮痛剤・筋弛緩薬などの内服・牽引またはコルセットによる固定などをおこないます。数ヶ月間の保存的加療をおこなっても症状が改善しなかった場合や疼痛などの神経症状が強くなった場合には、手術適応になる場合があります。
左の画像で上段がヘルニアの画像で、下段が正常な腰椎の画像です。
赤い矢印の部分がヘルニア部分です。画像をクリックすると、全体画像がでます。
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